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雑記「Don't call me, Henry」
 
カテゴリ:小説・文庫本など( 6 )
怒涛の読書週間
最近は読書週間になっています。
安部和重氏の「グランド・フィナーレ」に始まり、
嶽本のばら氏の作品をいくつか読み終えました。

*
ここ最近読んだ本の中でも、
嶽本のばら氏の小説集「エミリー」はかなり素敵な仕上がりで、ヒット。

嶽本のばら氏の描く主人公は、
いつも“美しいホールデン(ホールデン=「ライ麦畑でつかまえて」の主人公”と
思ってしまうような、アウトサイダーゆえに輝く少年少女が魅力的。
幻想的で、徹底的に孤独を美しいものに変換する能力に優れているのです。
「エミリー」の主人公エミリーもその一人です。

エッセイ集「それいぬ-正しい乙女になるために-」も、
「もし私が無人島に一冊だけ本を持っていけるなら?」という質問に、
即座に選んでしまいそうなほど、こよなく愛している作品です。
こちらも合わせて、ぜひ読んでみてはいかがでしょう?

*
そうそう。新刊「下妻物語・完」も、今日購入してきました。

音楽も映画も文学も、私はほとんど作家で選ぶことはありません。
今まで音楽で選んだのは、椎名林檎。
文学で、全作品を愛読したのは嶽本のばら氏だけだったり。
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by katefactory | 2005-06-23 23:47 | 小説・文庫本など
東京タワー
若き青年と、40代の女性の恋愛を描き、
今年の初めに映画も公開された、江國香織氏原作「東京タワー」。
遅ればせながら、このたび読んでみることに。

というのも、後日発行予定のメルマガ「Metro-Mens.Mail Magazine」のコンテンツ、
東京を描いた『蓮茶通信』の題材に、東京タワーを扱おうと思ったからなのですが。

東京タワーは、私が東京に住む前から思い入れのあった場所。
夜のネオンサインの中でもひときわ目立ち、
華やかな東京の街を見守りながら、退屈そうにも見える鉄塔。
第一回目は、これ以上に相応しい場所は、思い当たりませんでした。

私なりの「東京タワー」を、表現できればと思います。
ぜひ、お楽しみに!

*
そうそう。
江國香織氏原作「東京タワー」は、男性が読んでも楽しめそうです。

女性が年下の青年相手に恋に落ちるというシチュエーションを、
主人公、透(21歳、男性)の視点で描かれているので、
ここに描かれる物語にもすんなりと入っていけることでしょう。

個人的に、私は、詩史の不思議な軽さがとても好きです。
モラルの面でも納得する部分はありませんし、
恋愛に身を投じる姿にも共感は覚えないのですが、
雰囲気のはしばしで表現される、享楽的な艶やかさに惹かれます。

「人が恋におちるのは、空気」とありますが、それを体現する詩史。
文章を通して見えてくる、詩史の振る舞いに、“「」”の中の会話。
そして、喜美子とは対照的な、詩史らしい巧みな焦らし感。
きっと読者が男性なら、それは無邪気に見えるのでしょうし、
読者が女性なら、それはかなりの計算ずくめの戦術のように見えてくるはず。

一つのシチュエーションの中でも、男らしさと女らしさが渦巻いていて、
同じ場所にいても、「恋」の楽しみ方が違う。
恋の紡ぎ方がまったく異質であるからこそ、
交わることでしか確かめ合えない、同調できない感覚がある。

個人的には、そんな感想を抱いた小説でした。
この夏に読む本をお探しの方、こちらを読んでみてはいかがでしょうか?

*
[ 東京タワー ]
http://www.tokyo-tower.jp/
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by katefactory | 2005-06-15 22:08 | 小説・文庫本など
夢と欲望のコスメ戦争
知人に紹介された新書、
三田村蕗子氏著「夢と欲望のコスメ戦争」を読んでいます。
美白や自然派、敏感肌、目力といった身近なキーワードの下、
化粧品業界で繰り広げられてきた数々の戦いを、史劇のように綴っています。

個人的にも、コスメ業界の歴史を語った秀逸な一冊だと思いました。
夢を見せ、欲望を刺激し、いかにヒットアイテムを生み出すか。
そして、どれだけ長く生き延びるか。
化粧品業界では、繁栄、そして生存のために、日夜争いが続いています。

一見、化粧品業界は華やかに見えるでしょう。
しかし、実態は、「大奥」のような場所。
強(したた)かで優れた者しか生き残ることのできない戦場です。
いくら優れたアイテムが開発されても、
流通や消費者への歩み寄り方や、
プロモーションによってアイテムの良し悪しが決められてしまうことも。
毎年、毎シーズンごとに必ず新製品が発売されますし、
どこかの女性誌でベストコスメとして持て囃(はや)されても、
次の年には名声を失って、廃盤になる。
ものすごく個性的なアイテムでもすぐに模倣され、影が薄くなる。

そんな、日常生活の中では当たり前だと思っていることが、
実はさまざまな勝負の結果でもたらされたものだと。
この本を読めば、納得して知ることができるでしょう。

*
夢と欲望のコスメ戦争」では、
資生堂やカネボウ、花王、コーセーといった日本の大手ブランドをはじめ、
クリニークやマックスファクター、ファンケル、DHCなど、
多くの有名メーカーについて触れています。
現在存在するブランドの流れや成長を知るには、ぴったりかもしれません。

また、内容がとても熱くドラマティックな内容なので、
男性も楽しんで読めるはず。
これから化粧品業界への志望を考えている方、
化粧品業界で働いている方には、特におすすめですね。
ぜひ、読んでみてください。
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by katefactory | 2005-05-20 23:15 | 小説・文庫本など
有閑マドモワゼル
本日は、会社帰りにコーヒーショップに立ち寄って読書を。

たまに早く帰れるときは、絶対買い物をしに行く私。
買い物をしないときは、決まってコーヒーショップに立ち寄って読書をするのです。

今日読んだのは、お酒の席で同僚が貸してくれた
長谷部千彩氏の著作「有閑マドモワゼル」。
某女性誌で連載されていたコラムをまとめたものですが、
イイ女の我侭っぷりや“人生のひとくだり感”が艶(なまめ)かしい、素敵な作品です。

*
僭越(せんえつ)ながら、この本の好きな点を一つ挙げますと、
「男に愛された女は勝ち組!」的な香りを、ものすごく強く感じるところです。

中身を読んでいただければご理解いただけるかと思いますが、
長谷部氏のこのコラムに登場する男性は、
最後のコラムのご自分の夫を除いて、すべて彼女の「玩具」のよう。
それが、とても「私は魅力的な男性に愛されている女性なの」と、
女として優位に立った!と宣言しているような印象を受ける理由なのでしょう。
(最後に登場する“夫”には、とても素敵なイメージを想像させられます。
 それゆえに、長谷部氏を“イイ女”だと納得させられてしまう部分があるのでしょう)。
私は、そこが無性に気に入りました。

*
[ レディメイド*はせべ社長のひみつダイアリー(長谷部千彩氏のブログ) ]
http://d.hatena.ne.jp/readymade_hsb/
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by katefactory | 2005-05-12 22:24 | 小説・文庫本など
渋谷で働く社長の告白
先月発売された、サイバーエージェント藤田晋社長の告白本、
「渋谷で働く社長の告白」を、遅ればせながら読み始めました。
本日のエントリーは、まだ読んでいる途中にもかかわらず、
居ても立ってもいられず投稿しています。

まだ全部読み終えておりませんので感想は控えたいと思いますし、
読み終えても、恐らく感想はエントリーしないだろう、と考えています。
最初の数十ページを一気に読み進めましたが、
最初のページを読んだときから、既に胸が熱くなっていました。
感動という言葉は、あまりにも陳腐すぎる表現。
映画「ブラザーフッド」のコピーのような、
“魂が震える”のほうが、合っているかもしれません。

ただ今夜は読み耽りたい。
久々に、そう感じた本です。
もしかしたら、こっそり感想をお送りさせていただくかもしれません。

*
[ 渋谷で働く社長のblog ]
http://shibuya.ameblo.jp/?bid=shibuya
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by katefactory | 2005-04-26 23:07 | 小説・文庫本など
司馬遼太郎が考えたこと.1
先日、「ああ。この本を買わなくては!」と
興味を惹きつけられた本がありました。
それは、「司馬遼太郎が考えたこと.1」。
15巻のシリーズで刊行するという、
司馬先生が生前に書き残したエッセイ集の第1巻です。
私は、ろくに司馬先生の作品を読んでいないにも関わらず、
するすると引き寄せられるように、その本を買いました。

私は大学を卒業して以来、
こういうノスタルジックな雰囲気に満ちた本が好きになりました。
「司馬遼太郎が考えたこと.1」には、1953年10月から1961年10月までに、
先生が書いたエッセイがまとめられています。
私が生まれる約三十年前の出来事が描かれている、と考えると、
この本は、まるで昭和時代の歴史の資料のように思いました。

私は戦後という時間に、或る種の幻想を抱き続けています。
だから、こういう戦後特有の“生々しい温度差”のある内容が好きなのです。
厚かましくも、懐かしいとさえ感じてしまいます。

ただ美化してしまっているだけなのかもしれませんが、
戦後の日本を生きた人々の話を聞くと、心打たれることが多いのです。
それは、敗戦直後という、特殊なプロセス(敢えて過程とします)の中で、
若者たちのアイデンティティーが崩壊の危機にさらされることにより、
希望や情熱、素朴さ、逞(たくま)しさ、そして苦悩という人間らしさが、
現代よりも、より鮮明に浮き彫りになった。
そういう哀しい時代性に、郷愁を覚えるからでしょうか。
同時に、現代の若者たちの自我の崩壊が叫ばれて、早数十年。
最も強制的に自我を排他された時代に、純粋に自分らしく生きようとした祖父や父たち。
彼らに尊敬の念を抱くとともに、人格が今より尖っていた自分自身の若き日の姿を重ねて、
少し照れ臭さを感じるのが、無性に心地よく思えるのです。

話を戻しましょう。
この本には、主に先生が記者であった頃(30歳の頃でしょうか)から10年の間に書かれた
89編のエッセイが収録されています。
その中で、私が最も気に入った文章は、こんなくだりです。


  間もなく、私は多忙な職業に就いた。ビル街、ビズィネス、そして、映画、コーヒー、野球見物などのささいな都会的享楽、こうしたものが私の若さを、日の経つのも忘れ、ある限り燃焼させた。この環境におかれた若い魂にとって生と死のことを思い出させることは想像以上に困難である。(-略-)しかし、それでも、死はやってくる。(※1)


私は、先生のこの文章を読み、ただ、胸が震えました。
見透かされている、というのが率直な感想です。
また、それとともに、自分より何十年も前に生きていた人が、
同じようなことを考えていたのか、と考えると、妙に慰められたように嬉しくなりました。

このエッセイ集は、純粋に面白いです。
若い方なら、先人に学ぶことが多いかと思いますし、
ご年配の方なら、一線置いた立場で、若き日を懐かしむことができるかもしれません。
幅広い年層の男性に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

(※1) 『それでも、死はやってくる』より引用。
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by katefactory | 2005-02-13 22:39 | 小説・文庫本など