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雑記「Don't call me, Henry」
 
2005年 03月 22日 ( 1 )
Kanebo suisai
最近、私のまわりで話題なのが、Kaneboから2005年1月に新発売された「suisai」。
「28歳」をキーワードに、乾燥肌をみずみずしい肌に導く保湿ケア重視のブランドです。
従来のヒアルロン酸の課題であった“ぬるつき”や“つっぱり感”を解消し、
さらりとした浸透力を実現した「進化型ヒアルロン酸」。
そして話題の成分ローヤルゼリーエキスが配合されたこの新ブランド。
28歳の女性3人が担当者となり、商品コンセプトからすべて作り上げた、
新発想のスキンケアブランドです。

しかし、私の周囲の評判では「いくつも疑問が残る」との声が挙がってきています。
「28歳」というキィワードは、“何か”が身近に実感しにくい曖昧な年齢だとか、
同じKaneboの「フレイア」や「YUSUI」との住み分けはどうするのかなど。
ネガティヴな噂を聞くこともしばしばです。
ウェブサイトを拝見いたしますと、「28歳」の女性たちが
肌状態を含めてどういった傾向にあるのか、
いろいろとリサーチしたデータが、事細かに紹介されています。
しかし、私自身、上のネガティブな声に「ご尤(もっと)も」と頷く部分もあるのです。

*
「suisai」のウェブサイトを拝見しますと、
27~28歳は「審美眼」が高まる時期とあります。
「審美眼」の基準にもよりますが、
現代の女性は、10代の頃にすでに美に目覚めている分、
美の熟成やセンスの練成は割合早い段階で完了しているでしょうし、
20代も半ばに入る前には、スキンケアは習慣化されていることでしょう。
(女性の多くは、自分に一番似合うメイク・スキンケア方法の一つくらいは極めているはず。
 それに伴うスタイルセンスも、見合うものだと推測できる気がしますが、いかがでしょう?)。
また、28歳になる前に、アンチエイジングケアに目覚めている可能性が高いです。
個人的な感想ですが、今回のブランディングは、
奇をてらい過ぎて、少々外してしまったような印象を受けています。

東京では、「R-25」という男性向け(女性読者も多い)雑誌が無料配布されていますが、
多くの読者は、「25歳」というキィワードに惹かれたのだと思います。
私も、その一人です。
25歳になると、ちょうど仕事も一通り覚えて、
自分に対する関心が持てるくらいは余裕が出てくるであろう時期。
これが、見事にターゲットに定めた結果、大ヒットとなったことは言う間でも無いでしょう。
「28歳」では、「25歳」ほど、インパクトが強くなかったのではないでしょうか?
(すでに“25歳以上”の肌というコンセプトでは、花王「ライズ」がありますし、
 そう設定するのも、難しかったのかもしれませんね)。

*
最近のあるリサーチの結果では、
日本人女性の一番の悩みは「毛穴問題」だったそうです。
(「suisai」のサイトでも、そう紹介されています)。
乾燥しがちな肌ゆえに、毛穴トラブルを抱えている可能性はありますが、
「suisai」が色濃く示しているのは、あくまで「乾燥」を「うるおす」こと。
もし私なら、「肌をしっかりとうるおす」ことで、
「毛穴をケアする」といった方向性を、もっと強く打ち出していたかと思います。

確かに乾燥を改善に導くことは大事ですが、
そこから先で手に入れたい肌は、ハリとツヤのある肌なのか。
それとも、ハリとツヤに加えて“キメが細かい”若々しい肌なのか。
そこを、もう少し明確にわかりやすく消費者に宣伝するでしょう。
現時点では、28歳の女性の肌の悩みと、
「suisai」がもたらすポジティブなイメージが、
直結してしているとは言いがたい気がします。

また、アイテムのラインナップも、カネボウのお家芸ともいえる4タイプの肌質別に、
化粧水や乳液が揃えられていないことも気になりました。
無数にいる消費者の肌は、千差万別。
それを同じタイプの化粧水で対応しようとするのは、少々強引かもしれません。
1タイプでは、肌の合わない人間は、頑として「suisai」というブランドを
拒むことになるでしょうし、それでは全体的なブランド評価も下がってしまうのでは?
財政的に苦しいというのは、周知の事実かもしれませんが、
せめて2タイプ対応での投入は、リスクヘッジも含め企画すべきだったかもしれません。
(「うるおいたい人」をターゲットにするならば、「乾燥肌向け」と「普通肌向け」の2種)。

このままでは、資生堂「ビューティーボルテージ」や、
マックスファクター「イリューム」と対抗するのは、苦しいかな?と思います。

もし私なら、今のブランドコンセプトを残したまま戦うのであれば、
「ヒアルロン酸は進化した」と、おなじみの成分のパワーアップを強調。
また、「28歳の肌の悩み」をきちんとグラフ化してプレゼンし、
同時に、その「根本には“乾燥”がある」と説明。
そして、独自成分「進化型ヒアルロン酸」が肌トラブルの根本的な解決を導き、
“アンチエイジングケアを始める前に、うるおい細胞へ”といったニュアンスを主張します。

また「28歳」をキィワードに選ぶ理由の良さを根底に据えるのならば、
あくまで「28歳のライフスタイルがもたらす、決定的な肌トラブル」を強くイメージ化し、
“28歳で肌の状態が変わるときこそ、肌運命を切り開くとき-”とコピーを打ちます。
ただ「28歳からの肌を美しくする」と謳われても、
「28歳でなければいけないの?越えてしまうと、もうダメ?」と、疎外感を感じるだけです。
私なら、排除することを逆手に取り、中谷美紀さんというモデルを通して、
28歳の女性をに向けて、“清らかな美しさ”をアピール。
コピーは『28歳の…“しっとり肌”。ヒアルロン酸とともに、進化する』と打つでしょうか。

今の「suisai」の目指す、「28歳の理想像」を突き詰めて、
鮮明に描き出すことが、今のこのブランドにとって大事なことでは?と思っています。
世間の「28歳」は、どうありたいのか。
そこをリサーチして、結果を出さなくては。

パッケージの青い容器もブランドコンセプトに合っていて素敵ですし、
雑誌で紹介されている担当者たちのストーリーもなかなか感動的です。
また、化粧水・乳液を使用した後のさらりとした肌触り、
もちもちとした肌感触は、なかなか良い商品だと実感させてくれます。
ですが、それだけで消費者がついてくるのは難しいでしょう。
せっかく良いものを作ろうとしている姿に、共感する人も多いのでしょうから、
もう2ステップぐらい「進化」を期待しています!

*
さて、話は戻しますが、この年代向けのアンチエイジングシリーズで、
私は、昨年新発売されたマリークヮント「レイズアップ」シリーズに、注目しています。
こちらはアンチエイジングケアを全面的に押し出していますが、
ピンクのテクスチュアやパッケージなど、華やかな一面も。
(ピンクには、女性を癒す視覚的効果もあるのだとか)。
私的には、「suisai」にもこんなフェミニンさがエッセンスとして、
ブランドイメージに取り込まれると良いのでは?と考えてます。
(このシリーズについては、詳しくは今度の機会に紹介しますね!)。

*
[ Kanebo suisai ]
http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/suisai/
[ マリークヮント ]
http://www.maryquant.co.jp/
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by katefactory | 2005-03-22 22:33 | 化粧品