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若き青年と、40代の女性の恋愛を描き、
今年の初めに映画も公開された、江國香織氏原作「東京タワー」。 遅ればせながら、このたび読んでみることに。 というのも、後日発行予定のメルマガ「Metro-Mens.Mail Magazine」のコンテンツ、 東京を描いた『蓮茶通信』の題材に、東京タワーを扱おうと思ったからなのですが。 東京タワーは、私が東京に住む前から思い入れのあった場所。 夜のネオンサインの中でもひときわ目立ち、 華やかな東京の街を見守りながら、退屈そうにも見える鉄塔。 第一回目は、これ以上に相応しい場所は、思い当たりませんでした。 私なりの「東京タワー」を、表現できればと思います。 ぜひ、お楽しみに! * そうそう。 江國香織氏原作「東京タワー」は、男性が読んでも楽しめそうです。 女性が年下の青年相手に恋に落ちるというシチュエーションを、 主人公、透(21歳、男性)の視点で描かれているので、 ここに描かれる物語にもすんなりと入っていけることでしょう。 個人的に、私は、詩史の不思議な軽さがとても好きです。 モラルの面でも納得する部分はありませんし、 恋愛に身を投じる姿にも共感は覚えないのですが、 雰囲気のはしばしで表現される、享楽的な艶やかさに惹かれます。 「人が恋におちるのは、空気」とありますが、それを体現する詩史。 文章を通して見えてくる、詩史の振る舞いに、“「」”の中の会話。 そして、喜美子とは対照的な、詩史らしい巧みな焦らし感。 きっと読者が男性なら、それは無邪気に見えるのでしょうし、 読者が女性なら、それはかなりの計算ずくめの戦術のように見えてくるはず。 一つのシチュエーションの中でも、男らしさと女らしさが渦巻いていて、 同じ場所にいても、「恋」の楽しみ方が違う。 恋の紡ぎ方がまったく異質であるからこそ、 交わることでしか確かめ合えない、同調できない感覚がある。 個人的には、そんな感想を抱いた小説でした。 この夏に読む本をお探しの方、こちらを読んでみてはいかがでしょうか? * [ 東京タワー ] http://www.tokyo-tower.jp/
by katefactory
| 2005-06-15 22:08
| 小説・文庫本など
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